250cm大物風俗嬢
1 マゾ
私のために作られた部屋、天井まで260cm、ドアの高さは200cm。ドアも高くしてくれたらよかったのに、私がドアをくぐって入る様子が人気なようで、ドアの大きさは普通に。
「ご指名ありがとうございます。マユミです」
源氏名は普通本名とは違うものを付けるらしいけれど、私の場合はもうバレているから、そのまま付けた。
「本日は、どういったプレイをご希望で」
「踏んでほしい」
「はい?」
「そのデカ足で、俺の顔を踏んでほしい」
私は靴を脱いで、踏む準備を始める。
「そのままで!」きっぱりと、言われた。
「痛いですよ」
「痛いからいいんだ!」
私は言われるままに、お客さんの顔を踏む。40cmある私の足だと、お客さんの顔を完全に覆いつくしてしまう。
「ああ、いい! 体重もかけて」
私は徐々に、ゆっくりと体重をかけていく。
「もっと! もっと思い切って」
「は、はい!」
言われた通り、体重をかけていく。
「もっと、もっと」
「はい!」
もっと思い切って、体重をかけていく。
「うぐ・・・・・・おうとぅ」
「も、もっとですね」
思い切って、全体重をかけた。
・・・・・・声が、聞こえなくなった。
「あの、まだでしょうか?」
返事は聞こえない。私は不安になって、体重をかけるのをやめる。白目をむいた、お客さんの姿が。
「あ、ごめんなさい!」
私は慌ててお客さんを解放する。スタッフの人のお手伝いもあって、その後無事にお客さんは意識を取り戻した。
2 比較フェチ
案内された部屋は普通の部屋。私専用の大きな部屋じゃなくて、普通の、天井まで230cmくらいしかない狭い部屋に案内された。
いつも通りドアをくぐり、立つことはできないからその場に正座して、挨拶をする。
「ご指名ありがとうございます。今回は、どういったプレイをご希望で?」
礼儀正しく椅子に座っていた男性は微笑み、立ち上がる。中肉中背の普通の男性。170cmくらいだと思う。正座した私はそんな彼を見上げる。
「私、比較フェチなんです。手足などを比べたいんです」
「はい、わかりました」
「では、まずは手を」
男性は手のひらを私に向ける。私はそれに手をかざした。手の大きさは25cmしかないけれど、十分大きいらしい。関節2個分、私の方が大きい。私の手で隠されてしまうので、私の方から彼の手は見えない。
「大きいですね」
「ありがとうございます」
「次は、足を」
男性は顔を赤くしてそう言った。ゆっくりと、興奮しているみたい。私は靴を脱いで靴下を脱いで裸足になって、彼の足の隣に自分の足を置く。
「うわあ、大きいね」
男性がそう、ぼそりと呟いた。目をキラキラさせながら、私の足を眺めている。
「何センチですか?」
「よ、45cmです」
思わず赤面してしまう。普通の女の子の、2倍くらいある私の足。足の裏を合わせたら、35cmくらいまでだったら私の足で隠れてしまいそう。
「すごいです、感動しました」
「ありがとうございます」
でもここには、私のデカ足を笑う人はいない。皆さん、私の足を見て、笑顔いなってくれる。
「マユミさん、あなたは本当に、私の理想の女性ですよ。ちょっと、立ってもらえますか?」
「はい」
私は立ち上がる。天井が低いから、私は頭を思い切り下げて、それでは足りないから背中も曲げて、小さな部屋で立ち上がる。まさに巨人、という絵面なのだろう。
男性は私の胸を見上げていた。こうするべきなのだろうという義務感から、私は服を脱ぐ。私の胸は大きくはないけれど、男よりはある。
「すごい、胸の下に僕が入ってしまう。下乳を見上げるなんて、しかも僕の目の前にあなたのおへそが」
「あー」
男性の好みかと着てきた、小さめの服。私のへそがちらりと覗く。私は恥ずかしくなって、へそを隠してしまった。
「ああ、どうして」
「すみません、ちょっと」
「こんなに素晴らしいのに、どうしてあなたたちは隠そうとするのか。せっかくの魅力を、どうして」
「それは・・・・・・」
男性に押されて、へそから手を離す。男性はにこりと微笑んだ。
「そうです、その通りです。あなたは芸術です。芸術は、見られてこそ価値があるのです」
「は、はあ」
「すみません、しゃがんでもらえますか? もう、時間がありませんので」
私は男性の言うとおりにした。ちらっと時計を見れば、残り時間2分。
「ん!」
――私の口元に、彼の唇。私も頭をつかんで、ぎゅっと密着する。
「・・・・・・顔も、大きいんですね」
密着されたまま、私は頷く。その瞬間、唇同士の距離が、さらに近くなった。
3 彼女ごっこ
高校卒業してからも高校の制服を機会があるなんて、高校を卒業するころには想像もできなかった。さらに成長して、服が小さくなっていなくてよかった。
今、私は高校の制服を着て、私専用ルームでお客さんを待っている。ドアが開かれ、彼が入ってきた。私は立ち上がり、お客さんを見下ろす。見下ろすと、お客さんは笑顔になってくれる。
「今日は、デートプランですよね?」
「はい! よろしくお願いします!」
深々と頭を下げてくれる男性。1時間2万円という高価格なのに、お礼を言われるなんてと、なんとなく気が引けてしまう。
私たちは一緒に部屋を出て、店を出る。そして、道を歩く。この店に勤めてしばらく経つけれど、未だに人々には驚かれる。
「すごいです!」
急に、彼が私を見上げて感嘆した。目の前には、カーブミラー。私はそれでヘアーを整えて見せる。
「カーブミラーをそうやって使う人、初めて見ました」
「そうでしょう。でも、私にはちょうど良い高さですから」
ヘアーを整え、私はかがんで彼の手を取った。今だけは彼女、恋愛ごっこを貫こう。
しばらく歩くと、イベント会場か何かが見える。その周りには露店が、日よけのテントの中。しかしテントは私よりも背が低いらしい。
「マユミさん、カステラ食べませんか?」
「はい、食べたいです」
柔らかく微笑むと、彼は嬉しそうに、私の手を引っ張ってテントへと向かう。彼は中でカステラを買ってくれているけれど、わたしから中の様子は見えない。
しばらくして、彼が中から出てきた。
「はい、どうぞ」
私の手にカステラの袋を乗せてくれる。彼が持つと、手と同じくらいの袋も、私が持てば手のひらサイズで手のひらのなかにすっぽりと収まってしまう。
「ありがとう」
袋をあけて、一気に食べてしまう。こんなふうに食べてしまうのは少々気が引けたけれど、多分、こちらの方が喜んでくれる。
「ど、どうでしたか?」
「美味しかったですよ」
私がそう言うと、男性の表情が明るくなった。
250cmと160cmではまさに親子の身長差というもので、男性は肩まで手を持ち上げて、私と手をつながなくてはならない。昔、母と手をつなぐときにそうしていたような気がして、懐かしい。もしも自分に子供ができたら・・・・・・なんてことを考えてしまう。
「のど、かわきませんか?」
自販機の横で立ち止まって、彼が私に尋ねる。どちらでもよいけれど、首を縦に振ることにした、
男性はお金を入れて、緑茶を買ってくれた。自販機なんて私の胸よりも低いから、買うとしたらしゃがまないといけない。でもこの男性なら、普通に買える。
いけない、標準的な身長の人が急にうらやましくなってしまった。
「そろそろ、時間ですね。今日はとても楽しかったです!」
深々とお辞儀をしてくれる男性。私は軽く会釈をした。
「こちらこそ、色々ごちそうになりましたし」
「あの・・・・・・」
残り時間、1分。男性は私を見上げず、私の足元を見ている。最後に何か、プレイでもするのだろうか。
「あの、好きです、あなたのことが。純粋に、異性として好きになりました」
「え?」
胸ポケットの中でアラームが鳴りだした。
-FIN